【食材エキス化「売れる」】
しかも、食材を分解する設定温度は酵素が最も活発に働く45~50度なので、食材の成分を壊さなくて済む。キャベツのしんや魚の内臓など、栄養素を多く含みながら今まで捨てられていた部分を使って新しい食品を作り出すことができ、循環型社会にも大きな力を発揮します。
開発を思いついたのは一昨年7月。土曜日に出社したけれどやることがなく、誰もが利用できる開放特許を紹介する本をめくっていた。すると、食材に高圧をかけて短期間でエキス化する広島県立食品工業技術センター(広島市南区)の特許がふと目にとまった。圧力なら得意。「売れる」と直感し週明けに早速、担当者に掛け合い、すぐ試作に取り掛かりました。
試作機が出来上がるとイワシでテスト。わずか24時間後には、骨やうろこを除いたすべての部分が本当にエキスになっていた。みんなでなめてみたが、これがうまかった。その年末には県と特許の使用契約を結び、製造に乗り出した。
【改良重ね高品質を実現】
最初は年に2、3台も受注があれば、と思っていました。ところが、商社や機能性食品会社などから引き合いが相次ぎ、予想以上に売れ始めた。不具合が万が一にでも発生した場合を考えると怖くなり、いったん製造を中止。市販品としての品質を高めるため、圧力容器のふたの開閉を自動化したり、操作用タッチパネルを追加したりして改良を加え、現在の形にしました。
昨年9月から販売を再開。これまでに30台が売れた。昨年暮れには化粧品会社から、一度に50台の注文も舞い込んだ。化粧水に超高圧をかけると、保湿性や浸透性が上がるそうです。新たな装置は、開発した私たちが考えもつかないような利用方法が出てくるから面白い。
初の量産品「まるごとエキス」は今後、収益の柱の一つになってくれれば、と期待しています。さらに今年も、わが社の技術を生かし、ある画期的な量産型装置を発売する予定です。