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エスペック、CO2で半導体洗浄、「超臨界」方式で-水使わず微細化に対応

2006.08.16
2006/08/16 日経産業新聞


 環境試験装置大手のエスペックは、液体と気体の双方の性質を持つ「超臨界」状態の二酸化炭素(CO2)で半導体を洗浄する装置を開発した。現在は薬品で洗浄してから水で洗い流す方式が一般的だが、超臨界方式だと水をほとんど使わずに済む。洗浄能力が高いため、半導体回路のいっそうの微細化にも対応可能。2008年度にも量産のための試作機を作成し、2010年度には年間売上高30億円の事業に育成する。
 エスペックは超臨界技術を持つベンチャー企業のつくばセミテクノロジー(つくば市)などと開発に取り組んできた。既に300ミリのシリコンウエハーを扱える超臨界の半導体洗浄装置の試作品を開発、10月から茨城県つくば市の研究開発施設に設置し半導体メーカーとの共同開発に入る。08年度には量産用の試作機を作り、その後、本格販売を開始する。製品化した際の価格は、現在の洗浄装置の2~3倍の2億~3億円程度になる見通し。
 温度セ氏31度以上、73気圧以上の高温高圧条件下で超臨界状態にした二酸化炭素に薬品を溶かし、半導体を洗う。超臨界には液体のような表面張力が無く、微細なすき間に入り込める。回路線幅が45ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の微細な半導体では、洗浄が課題の一つとされているが、超臨界技術を使えば半導体の品質を維持できるという。
 洗浄液を洗い流す工程が不要なため、水がほとんど要らない。洗浄後に減圧すると超臨界の二酸化炭素は気体に戻る。装置外に放出する際、洗浄工程で取り除いた不純物も同時に放出される。洗浄用の薬品も従来方式の2~3%程度と大幅に節約できる。
 エスペックは主力事業の環境試験装置で培ったチャンバー(反応容器)の製品技術を活用する。環境試験装置は熱や衝撃など、様々な状態を作り出し、半導体や電子部品の耐久性などを調べるのに使う。高水準の強度が必要で、この製造技術を高温高圧の環境を作り出す新型の洗浄装置に応用した。
 同社は05年度に半導体洗浄装置事業に参入した。現在は洗浄液を使う従来型の洗浄装置を手がけている。今後微細化する半導体の製造工程や次世代半導体の開発には、超臨界方式の半導体洗浄装置の需要が高まるとみて商品化を急ぐ。

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