新聞・雑誌等への掲載

鶏ふんを短時間でガス化 試験装置を本格運転-中電研究所 発電実用化にらむ

2006.08.12
2006/08/12 中国新聞朝刊

 中国電力エネルギア総合研究所(東広島市)は11日、鶏ふんを高温高圧で短時間でガス化するパイロット試験装置の本格運転を始めた。世界初のシステムという。鶏ふん処理の主力である堆肥(たいひ)が供給過剰傾向の中、新たな処理法として期待される。ガスでバイオマス(生物資源)発電することで将来的に中電の新エネルギーのウエート向上にもつながる。
 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究。広島大大学院工学研究科、産業技術総合研究所バイオマス研究センター(呉市)、実験用プラント製造の東洋高圧(広島市西区)に機器の開発や試験評価などを委託している。
 試験装置は中電エネルギア総研内に設け、高さ約4メートル、長さ約10メートル。鶏ふんと水、触媒の活性炭を混ぜて1ミリ以下に粉砕し液状化。600度、250気圧にして、メタンや水素、二酸化炭素などのガスや水、触媒に分ける。高温高圧処理により、従来のメタン発酵では2週間かかるガス化を約1分に短縮できるという。
 1日当たり1トンの鶏ふんを処理でき、116立方メートルの可燃性ガスを回収。実用時には処理能力を1日10トンに引き上げ、ガスを利用した発電量は、終日安定稼働した場合、960キロワット時となる。採卵業者を中心に設置を進め、ガスを自家発電や熱エネルギーに活用してもらう方針だ。
 2005年度にNEDOとの共同研究に採択され、06年度に試験装置の動作試験、07年度に連続運転試験などを計画。その後、実証試験を経て実用化を目指す。
 試験装置と建物などの投資額9千5百万円を含め総研究費は約3億円。中電が3分の1、NEDOが3分の2を負担する。

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