新聞・雑誌等への掲載

魚・野菜、24時間でエキスに-調味料や医薬原料用、東洋高圧が装置

2005.12.10
2005/12/10 日本経済新聞 地方経済面(広島)


 理化学機器製造の東洋高圧(広島市、野口賢二郎社長)は魚、野菜などから、調味料・医薬品などの原料となるエキスを24時間で製造する装置を開発した。高圧をかけて酵素の分解作用を促す仕組みで、腐敗防止用の食塩は不要。提携先の家庭用電気機器販売のポエック(広島県福山市、来山哲二社長)が来年1月から食品・医薬品メーカーなどに販売する。
 広島県立食品工業技術センター(広島市)が開発し県が特許を持つ技術を、財団法人ひろしま産業振興機構(同)を通じて取得した。製品名は「まるごとエキス装置」。たんぱく質を成分とした生の食材を水深1万メートルの海中と同じ100メガ(メガは百万)パスカルの圧力をかけながら、セ氏約60度の温度下で熟成・液化する。高圧の作用で微生物の発育も抑える。
 製造したエキスは調味料以外に果汁飲料、健康食品、化粧品の素材などに使える。初めから酵素を持っている魚などはそのまま、野菜の場合は酵素を加えて処理する。規格外で出荷できない農作物や漁獲物の処理に困っている全国の農業・漁業協同組合にも採用を働きかける。
 魚醤(ぎょしょう)を製造する場合、従来製法では有害微生物による腐敗を防ぐため多量の食塩を加える必要があり、製品化に数年かかっていた。新装置だと低塩分の製品を1日で醸造できる。
 1回に8リットル製造できる小型装置を先行発売し、並行して容量3百リットルの大型装置の受注活動を進める。装置はポエックがグループ企業のプラント設計・製作会社、三和テスコ(高松市、来山哲二社長)で製造する。価格は小型装置が約8百万円。大型装置は能力によって異なるが1億円以上の見込み。

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