新聞・雑誌等への掲載

東洋高圧 広島市西区(ちゅうごく元気カンパニー)

2002.09.04
2002/09/04 朝日新聞朝刊


 広島市西区の東洋高圧は、上場企業や大学などの研究機関から、理化学分野の実験プラントの設計・製作を請け負う。野口賢二郎社長は「製品のカタログを用意してはいるが、2度と同じ製品を出荷することはない」と話す。
 約20年前に開発したのが海水の淡水化や石炭の液化。淡水化のプラントは、すでにアラブ諸国に納入されている。石炭の液化は、石油が底をついたときに役立つという。超伝導物質の硬さや電気伝導度を測定できる装置、燃料電池も手がけてきた。
 業績を安定させるため、より量産できる商品を開発しようと、タラやサケを同じ重さに裁断する装置やカニの足の皮むき装置も製品化した。カニのほうは日本発明振興協会の発明大賞福田特別賞も受賞したほどの秀作だったが、水産業者らに約10台売れただけ。結局、「自分たちには、研究者向けの製品しかない」(野口社長)と、今は実験プラントなどを専門にしている。
 現在、注文が多いのは「超臨界抽出装置」。これまでに約千件の問い合わせがあり、100台ほどを納入した。超臨界とは、気体だが高圧で体積が液体程度の状態。超臨界の状態にした溶媒を使って、原料を粉砕せずにより多くの物質を抽出する装置だ。食品や医薬品メーカーからの依頼が多く、新たな機能性食品や医薬品の開発が期待されている。
 社員は24人。野口社長は「これからも少数精鋭で、世界に一つしかないものを作り出していきたい」と話す。

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