高圧装置開発秘話

まるごとエキスのきっかけは牡蠣むき

2007.02.21
まるごとエキス装置写真

最大で水深10,000mでの圧力に相当する100MPaの圧力により、さまざまな食品材料を短時間で分解し、エキス化してしまう「まるごとエキス」。この装置を生み出すきっかけは、東洋高圧の地元広島の特産品である牡蠣だった。

従来手作業で行っていた牡蠣むき(牡蠣の身を殻から取り出すこと)。この作業を、圧力を使い1日人手に換算して3人分の仕事をこなすという装置が、産学官の連携によって開発された。しかし、牡蠣むきを行うシーズンは1年間に限られた期間のみ。オフシーズンの間、装置は使われないままだ。ここに新たな用途を吹き込んだのが、広島県立食品工業技術センターのしょっつるなどの魚醤油製造技術にヒントを得て開発された「調味料の製造方法特許」だった。これまで、魚醤油を作る際に問題となっていたのは「腐る」ということ。腐ることを防止するため、大量の塩を投入するのが常識だった。しかし、ここに圧力を加えることで、微生物の増殖が抑制され、塩を使用しなくとも腐らせない(=塩分の少ない調味料を作ることができる)というのがこの特許のポイントだ。

しかし、圧力を加える装置には、独自の技術とノウハウが必要である。実際に、牡蠣むきの場合でも水深6,000mに相当する60MPaという圧力を加える。そのため、装置が大規模かつ高価なものとなってしまい、なかなか実用化には結びついていなかった。

これを長年、圧力機器製造に携わってきた東洋高圧にて、低廉かつ簡便操作の装置として「まるごとエキス」が生まれたのである。

※「まるごとエキス」については、TV、雑誌など各種メディアでも取り上げられました。なかでもフジTV系列の番組「知恵の輪ニッポン」では、Webサイト上で動画もご覧いただけますので、ぜひ一度ご覧ください。

50Lタイプのまるごとエキス装置写真

←戻る


東洋高圧バナー  超臨界技術研究所バナー