高圧の世界

普通では考えられないことが起こる高圧環境

2007.01.10
高圧処理イメージ

 我々が暮らしている環境はおよそ1気圧。この状態では、何ら問題はありませんが、高圧装置と呼ばれるものは、通常の何十倍にもおよぶ圧力がかかります。たとえて言うならば、水深数千メートル環境下にいるくらいの圧力がかかるのです。そのため、装置のありとあらゆるところに圧力に対する設計・工夫をしていなければ、ほんの些細なスキマから破損が広がり、あっという間に装置全体が故障することにもなるのです。

 こう説明すれば、高圧環境というのは恐ろしく聞こえるかもしれませんが、きちんとポイントを抑えて装置を設計すれば問題ありません。むしろ、高圧環境下では、我々が普段暮らしている環境では考えられないような現象が起こり、新たな効果が生み出されることもあります。たとえば超臨界もその一つです。超臨界とは、物質ごとに決まっている「臨界点」という、ある一定の圧力と温度を超えた状態のことを言います。この「超臨界」状態では、物質は固体でも液体でも蒸気でもない特殊な状態となりますが、この時に普通の状態では考えられないような化学反応が起こるのです。一例を挙げると、二酸化炭素を超臨界状態にして、物体を洗浄すれば、物体中のPCBと反応して、有害物質PCBだけを取り去ってしてしまうこともできるのです。

 いずれにしても、高圧環境下では、通常では考えられないような反応が起こるため、これをうまく活用することで、従来は不可能と思われていたようなことにも道が拓けてくる可能性があるのです。

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